2808年01月01日

未来光:『黎明』 未来章 『未来人はかく語りき』 - I

 『平和』、それは言葉に置き換えると陳腐なものでありますが、我々の凄惨な歴史を少しでも顧みれば、これが掛け替えの無い状態であることは明白でありましょう?
    ――中略――
 私はそんな黄金に等しい日々の恒久的維持を可能とする組織を作りたい、と強く願いました。全ての人に『闇』ではなく、『光』を。『恐怖』ではなく、『歓び』を。

 それをもたらす『手段』としての、【フォース】の結成を。

 ここに宣言させて頂くものであります。


      【フォース】初代総帥クリストファ・アレン
       旗艦【フォーチュン】艦上における全宇宙に向けた大演説より抜粋


   ◆ ◆ ◆


 全く慚愧(ざんき)に耐えない話だが、我々が理想としてきた民主主義という制度がその自浄力を『完全に』と表現しても良い程に失いつつ――いや、失ってしまっていたことは紛れもない、確固たる現実だった。
      ――中略――
 そして、その時の人類には彼のそんな提案に従うより他の道は無かった筈だ。更に現今の状況、情勢を鑑みればかの選択肢を我々人類が選択したことは間違いでは断じて有り得ないだろう。遙かな古代、ややもすれば文明の黎明期より我々人類が永年求めてきたものを、あの男は見事な『形』で実現させつつある。

 ……我々は、恐らくは彼が『長く』『永く』その内で暖め続けてきたのであろう、そんな『夢』に対抗出来るだけの『夢』を終ぞ、持ち合わせられなかった。
 『夢』と、ここでは表現を行ったが、それ以外に表現のしようが無い。そして、全ての人類の前でそんな『夢』を『現実』と成さしめた彼は。

 そんな彼は、間違いなく。

 我々が望んでいた救世主(メサイヤ)に、他ならなかったのではなかったか。


    ユーリル・マケンスキー(アルタミラ大学法学部教授)
    光暦3年の著書『フォースによる完全平和維持活動に関する一考察』より抜粋


   ◆ ◆ ◆


 何が『光』か『人権』か!? 彼等は独裁という裸体に大義名分という服を身に纏い、平和と刻まれただけのトレンチ・コートを着込んだだけではないか。何が民主主義なものか。それを言葉通りに実行したいのなら、まずあの物騒な『自称』平和維持軍とやらを解体し、議会によって実行するべきなのだ!!

      差出人不明
       デイリーアルタミラ『宇宙広場』欄(投稿欄)より
                   (光暦3年11月30日)


   ◆ ◆ ◆


 既存の制度に一体、何が出来たのか。過去の歴史を顧みても浄化が進むどころか、より一層の腐敗へと堕していくだけだったではないか。そして、大概の場合は発足当初の崇高な理想や理念、原理からは懸け離れた状態に陥ることが多かった筈である。最悪の場合は、新たな独裁恐怖政治の土壌と相成ってしまったのは他でもなく、我々の歴史が痛烈に証明してくれたのではなかったか?

      ウォレン・スミッシー(47才:男性:ネェル・ヨコハマ在住)
       デイリーアルタミラ『宇宙広場』欄より(光暦3年12月2日)
        先の宇宙広場欄(11月30日発行分)に対する反論
posted by 光橋祐希 at 00:00| 【未来光】 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする